法人化しません

 最近、法人成りできないかなと思って電卓叩いてみたんだけど、コレと言えるメリットを見出せなかったので一旦諦めた。

 

 法人成りというのはつまり、個人事業主としてやってる仕事を廃業して会社を起こすことである。

 僕の法人成りの目的は節税にあった。だから夢がどうだとか社会に貢献だとか、はたまた社長と呼ばれて大金持ちを目指したいとかそういう話ではない。家庭に残すお金をどう最大化するかという一点がテーマである。

 Web で調べると節税をうたって解説をしている税理士さんのサイトが山ほど見つかる。だから実際に自分に当てはめて試算してみる前からこれはだいぶ得するのではないかという期待はあった。また起業を経験した人の話を聞くと「まずはドンブリ勘定で良いから一、二年やってみて、儲けとか税金とか保険とかを固めるのはその後だよ」と言われた。つまり法人化して会社を始めてしまえば後は何とかなるもんだということらしい。さらに保険屋にも相談を聞いてもらったのだけど「節税のために保険を使うというのは基本的な考え方。いくら利益を圧縮したいかで保険商品を選ぶと良い」などのアドバイスももらった。

 そういう諸々の意見にばかり気を取られて、すっかり法人化する気持ちだけは固まっていたのだけど、実際に計算してみるとそう甘くは無かったんだなぁコレが。もちろん僕には僕の、コレがこうでアレがああで、という動かし難い条件がいくつもある。それらを全て踏まえた上で、残った可変パラメータをあれこれいじっては試算を繰り返した結果がいずれも否だったというだけのことである。

 

 財務の首を締めるものには何があるかというと、まずは社会保険がある。いくらなんでも高すぎる。

 次に、法人という、僕とは別の社会的人格単位の創設と維持にかかるお金。法人税、法人事業税、法人県民税、法人市民税とかね。

 あとは生命保険をいかに損金算入させつつ保障を組み立てるかというあたりも結構悩ましい。

 もちろん、こんなものは法人を運営するという実務全体から見たら細かい話に過ぎない。経理、法務、人事など本業を囲うあらゆるものがちゃんと駆動してようやく法人が法人として生き長らえられるのである。それらをちゃんとうまくこなせるという無理ゲな仮定をしてもなお、節税という目的ひとつ達せられそうにないという結論が出たことは、正直残念だった。

 

 ところで、二つほど気づいた事がある。

 ひとつは、会社というものを取り巻く法律・税・保険・金融機関は実によくできているということ。ちゃんと利益を出そうと取り組む会社に、これらインフラは手厚く対応してくれる。

 もうひとつは、財務を疎かにする経営はそもそも無責任だということ。財務は経営者(または財務担当部署)の領域であるから、財務をちゃんと舵取りしないということは、会社を危険に晒していることに等しいのである。税理士は税の、保険屋は保険のエキスパートであって、財務の専門ではない。節税するため、保険料を支払うためにばかり経営をする会社というのは彼らのカモではないかとすら思う。

 

 何だか最後偉そうなことを書いたけど、軽い気持ちで節税のために法人成りしようとした僕の目論見は見事にポシャったので、ちょっと悔しかったゼという話でした。まだ完全には諦めてないけどねー。